春雷を攫っておくれ
花隠れの福音
星の海の深いところで
羽根の代わりにはならないけれど
不破

お前を起こした鴉を教えて
花の名を塗り潰す
まどかなる星の常
尾浜

真白の翳りに棲む獣
泥濘を温めるひと
夜明け前より暗いひかりを
花病みを紐解けば
善法寺

春も此処らで灰になる
散りぬべきとき散りてこそ
遣らずの雨に唄うのさ
鉢屋