真火に還らぬ我ら
仄日の徒
天地を鎖せ齎せ
赫と雨は昇る
花をかたどる遠雷
やさしい星の綴りかた
うすくれなゐに夜はくずれて
慈雨と透徹
落日の淵に手をかけて
暗がりへ続く花飾り
朔の月を飼っている
むすんでひらいて匣の中
火も鍵穴もないところ
夜香花の眠り
原始の冬にて
糖衣を知らない子
白が呪いに変わる前に
雨月の終わりを見ていた
薬研藤四郎